夕べから降っている雨は今朝になって強い雨に変わった。
風が吹き荒れ、横殴りの雨が工場の屋根に降り注いだ。
しばらくすると、雨はあがって青空が拡がった。
太陽が出て、雲は早い速度で東へと流れてゆく。
その風に乗ってカラスが、飛んでゆくのが見える。
今、頭上にいたのに次の瞬間には、もう遠くの空で羽を広げている。
工場の廻りの木々は雨に洗われて、輝いている。
バカ犬テツも、いつもいる建物の中から出てきてひなたぼっこを始めた。
ぼくが焼酎の蒸留をしている脇でウトウトと居眠りをしはじめた。
それがあんまり気持ち良さそうでテツを撫でた。
テツは腹を見せて、嬉しそうに上を向いた。
するとテツの黒い目玉に青空が映った。
青い空の中にぼくの顔も映っている。
白い雲がビュンビュン飛んでゆくのも見える。
お前の眼にもこの風景は見えているんだなあ、
とテツの腹を撫でながら思った。