1. 物書きになる秘訣、おしえます

このところ何人かの人から
「物書きになりたいのだけれど」
という相談をもらった。
もの書きになるにはどうすれば良いのか? と言うわけである。
しかしぼくにもこの答えが出せるわけはなく困ったなあ、と思っている。
自分のことを振り返って、いままで何をしてきたか?
というと、ぼくはこれをしました、だからこうなりました、という、確かなものがないからだ。
だいいち、物書きだっていう自覚はあるけど威張れるようなものがなんにもない。
あっちこっちをフラフラ旅行したり今日したことをリアルタイムで手帳に
「あとで自分が読み返して面白いように」
書いたり、ということをしているけれどそれがはたして効果があるものなのかどうか
よくわからない。
若くて仕事がなかったころはよくこの雑誌から依頼が来たら?
ということを想定して原稿を書いては楽しんでいた。
いわばシュミレーションである。
しかし実際に仕事がくると雑誌側のいうとおりになんか、とても書けない。
初めての仕事も雑誌側が勝手に原稿に手を入れたことが理由で抗議をしたら、連載打ち切りとなってしまった。
そんな訳で大した仕事なんてしていないままこんな歳になってしまったという訳である。
だから、どうしたら良いか?
と訊かれたときには
「とにかく書くことです」
と答えることにしている。

つづく